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スーパー食いしん坊達

15-第2回検証会-紹興料理、咸亨酒店


 「スーパー食いしん坊達」も連載開始から3ヶ月が過ぎましたが、このたび5月26日に第2回検証会を行いました。今回ピックアップしたのは連載第10回目に掲載した紹興料理、咸亨酒店です(こちらをクリックすると、別ウインドウで記事をご覧いただけます)。記事にもありますように、紹興料理はともかくクサイ。実を申せば、この日体調が悪かったこともありこの匂いに私は退いてしまったのです。しかし今回検証会に参加して下さった他の方々はかなり満足されていました。人によって評価が分かれる味と言えましょう。
 参加して下さったのは、第11回を書かれた九知福神氏、第12回を書かれた美雪山氏、第8回・第13回を書かれたKONOK氏、そしてグルメでないもののレフェリー役として参加の第1回目と第7回を書いた私仲蔡の計4人です。




<茴香豆>

(九知福神氏は仕事のため遅達。3人で開始)
美(美雪山):ソラマメですね。たまごと同じ味ですね。
K(KONOK):茶葉蛋と同じ味だね。八角が入っている。
仲(仲蔡):なにそれ。
K:香辛料です。
美:うん、入っていますね。紹興酒にあいそう。

(紹興酒がテーブルに運ばれてくる)
仲:うわ、すごい色。コーラーみたいだ。その上匂いがきつい。
K:おいしい。
美:うん。おいしい。
仲:(沈黙)
K:いや、かなりおいしいですよ、これ。
仲:味が濃すぎるよ。しばらく飲んだら絶対に飽きる。プリンにかけるとちょうどいいくらいだよ。


<油炸臭豆腐>

仲:さて、臭いものシリーズの一つ目は揚げ豆腐です。

うわ、臭い!

美:素揚げですね。うまい。
仲:クサー!!(皿を遠ざける)。
K:臭くないですよ。これはまだまだ。おいしいじゃないですか。
仲:人類の食べものじゃないよ。
美:納豆食べるでしょう。納豆と同じですよ。
仲:納豆は臭くないよ。なぜこんなのがうまいの。君らとは民族が違う!
美:スナックなんですよ。料理と位置付けるには問題があるかもしれませんが、お酒のツマミということですね。
K:一つ難を言うと、ちょっと塩辛いね。


<咸亨什景-毛豆蒸芋nai(草カンムリに乃)>

仲:さて、今日の料理の中ではダントツに高い咸亨什景。鍋だね。色々入ってるね。何が入ってる?
K:魚のすりみのダンゴ、えび、野菜、タマゴ・・・
仲:アー、これは人類の食べ物だ。ホッとする。
K:でもこれはバランスが崩れますね。紹興料理らしくない。からくない火鍋というところですね。
仲:ところで、この店はよく入っているね。
美:ほぼ満員です
仲:明かに上海人の間で、ちょっと違う料理を食べるのが流行っているね。数年前にはそういうことはなかったでしょう。地方料理ブームとして有名なのは火鍋や杭州料理ですね。最近ではベトナム料理が流行っている。2年くらい前に上海市が、一人当たりGDPが3000ドルを超えたから中進国並みになったなんて言っていたけど、ちょうどそのころからですかね。

(毛豆蒸芋naiが運ばれてきて)
K:サトイモがいい匂いですね。
美:これはチーズ臭い。私は苦手です。
仲:いや、これはいい匂いだよ。日本料理にある匂い。


<清蒸臭豆腐>

K:さて、来ました来ました。さっきの臭豆腐は揚げたものでしたが、これは蒸したものです。あれ、ウェイトレスがいやそうな顔して置いていきましたね。

わっ、臭い。

仲:うわー、これはクサー。
美:ブルーチーズのにおいでしょう。すぐ紹興酒を飲めばいいんですよ。
仲:呼吸せずに食べれば何とかなるね。しかし、一体どういう文化なの。あー、ビールがすごくうまく感じる!!
K:本当はもっと臭いですよ。これはゆでていますよね。やはり蒸さなきゃ。蒸せばもっといい匂いがしますよ。

(ここで九知福神氏が到着。一通りの雑談の後)
九(九知福神):これはまだまだですよ。もっと臭いものがあります。(メニューを取り寄せて注文)


<干菜kao蝦(kaoは火ヘンに考)>

仲:この料理は、普通の中華料理ですね。蝦に添えられた野菜が甘くておいしい。

九知福神さんは紹興に行かれたことがありますが、紹興料理はなぜこんなに臭いんですかね。

九:海に近いので湿度が高く、気温が高いためそもそも食べ物が醗酵しやすいということもあると思いますが、その他にも人々の質素な気質によるのではないでしょうか。食事が質素なんですよ。醗酵した豆腐なんか、豊かな土地の人は食べない。この干菜kao蝦の野菜も干したもので質素ですね。
私は車で紹興を通過しただけですが、一見したところ平地に穀倉地帯が広がり、貧しいという感じではなかったですが。
九:貧しいわけではなく、質素、つまり金をかけないで食事をするという発想をする人々なのだと思います。
仲:今回注文した料理では、臭くない咸亨什景と干菜kao蝦が別格に高くてそれぞれ68元と49元。それ以外のものは全て20元以下です。

この紹興酒はどう思いますか。二人はおいしいといいますが、私はあまり好きになれません。甘すぎるように思いますが。

九:こういう黒い紹興酒にはカラメルが入っています。
仲:なるほど、さっき「プリンにかけるといい」と言ったけど、いい発想だったわけだ。
九:紹興の人々は、自分の家でとれた米で酒を造ります。色は白です。
仲:本場で飲む紹興酒は味が違いますか。
九:

紹興では、店でどんぶりで酒が出されてきます。しつこさのない甘さで、一杯のむと、さらに一杯飲みたくなる不思議な味なのです。上海で飲むものは味が落ちていますね。やはり運ばれて来るまでに味が変化してしまうのでしょうか。

ところで紹興酒と言えば、この咸亨酒店の本店に行った時のことですが、食事をしているとなんだか臭いので振り返ってみると、いかにも乞食という服装の人達が集まって食事をしているのです。見ていると、他の客の残り物を食べている。どうも酒はお金を出して買っているようで、酒代を払っているからには他の客と同じ扱い、ということのようです。さすがは紹興酒のメッカだけありますね。


<清蒸mei梗菜(meiは雨カンムリに毎)>

(ウェイトレスが皿を持って来ると、すぐに小走りに逃げていく)
九:さて来ましたよ。
K:うわ、1メートル手前から臭った。
仲:こ、こ、こ、これは掃除していないトイレの臭い!。
K:長距離列車のトイレ。
美:食べるとそうでもないですけど、息はできないですね。
九:これがワインや安い酸味の強い紹興酒に合うんですよ。塩といっしょに日本酒を飲むでしょ。あの感覚です。仲祭さんも食べて下さい。食べなきゃ記事書けませんよ。
仲:(一口食べて)うわ、これは長距離列車のトイレに落ちた感じ!
九:酒をすぐ飲むといいですよ。酒のために食べるのですよ。
仲:人類は不思議ですねえ。この清蒸mei梗菜とか、ドリアンとかクサヤとか、犬とか猫も食べないんじゃないですか。
美:生ゴミより臭い。
九:10日たった生ゴミ。
美:私の田舎にはある匂いですよ。
九:紹興にの人には子供の頃から周りにあった匂いで、あまり苦にならないのかもしれませんよ。
美:濃厚な生活にはよくある匂いですよね。
九:そばに動物のいるにおいですよね。落ち着くにおいでもあるような。
仲:しかし、うまくはないですよね。
九:うまくはない。本能からくるもので惹かれるのでしょう。


<mei千張蒸肉>

(ウェイトレスが鼻をつまみながら皿をテーブルに置く)
仲:ウェイトレスがいやがるということは、紹興人じゃないんですかね。(ウェイトレスに向かい)上海人?
ウェイトレス:いいえ、江蘇省です。
仲:肉の上にチーズみたいなものが乗っていますね。皆さんお先にどうぞ。
美:これは臭さが口に残りますね。舌にまとわりつく匂いです。
K:なかなかいいですよ。
仲:これはそんなに臭くないですよ。これは食料といえましょう。
九:この下の肉がなくて、上のチーズみたいのだけでも出てくるんですよ。それを食べましょう。


<mei千張>

K:これはキツイ。肉がないだけですか。全然違うような感じです。
仲:私は止めときます。体調が悪いので。
九:タンパク質の醗酵した匂いなわけですが、これは本能に何かをうったえる匂いのような気がします。
仲:纏足の匂いとか・・・けがれなき女性の匂いとか・・・うーん、何か性的なものにつながるような・・・
K:纏足のにおいだけで男性は感じることができたと言いますね。纏足の包帯を外すのは夫だけの特権だったわけで、この女を占有しているんだという快感、それから纏足をしていた女性は足先のフットの部分を見られるのを極度に恥ずかしがったと言いますが、いつも隠している恥ずかしがる場所を見る快感、さらには妻にとって包帯が解かれて足が広がる感覚が大変気持ちよかったそうですが、妻にそういう気持ちよさを与えるという快感、これらの快感といっしょに独特の香りが漂ってくる。このために男性はこの匂いに特別の反応を示すようになったといいます。
九:農村で、畑のなかでイチャイチャしているんですよ。そこに雨が降ってきて、そばの納屋に駆け込む。そこでまたイチャイチャしていると、雨があがって、プーンとにおってくる。そばにある乾いた肥溜めが雨で濡れてにおいが溶け出してきたのか、それとも彼女の匂いだろうか、とふと悩むような感じ。
仲:引き揚げ船で多くの人の間で肩を寄せ合わせていたカップルが、日本について久しぶりにする時のにおい。

<この先、この匂いについての議論が続きますが、男性のみの会合のためか、表現がかなり下品になっていきます。それでも掲載しようと思い、原稿にはしたのですが、やはりとても掲載できるものではないので、残念ながらカットします。要は、きついチーズのような匂いについて、何に似ている、と議論が続いていくのです。大体想像できますよね・・・>


(店頭に立つ文人孔乙巳像。魯迅が孔乙巳について書いた小説の中で触れたことからこのレストランが有名になったという)
仲:そういえばもうライチの季節ですね。これから雨が降り始めるまでの間が上海で一番好きな季節ですよ。私は冷凍庫に貯蔵しておきます。それを毎日少しづつ食べていく。
九:青いマンゴ食べたことありますか。
K:熟れてないということですか。
九:いえ、中は甘いのですよ。うまいですよ。
K:果物の話題になるというのは、あまりに臭いものが続いたので、口が果物を欲しているんですかね。


仲:さて、当レストランをシェクスオススメレストランに格上げするかどうかですが
九:格上げどころか、別格ですよ。特級です。
K:同感ですね。
美:酒飲みにはたまらないです。
K:でも、うまいものを食べたい人は止めた方がいいですね。あと大事な接待の時とか。



<407元で清算した後、体調の悪かった私は家路に、残りの3人は飲みにと二手に分かれました。家に入りすぐにシャワーを浴び、歯を磨いたものの、その日は寝るまであの匂いにまとわりつかれるような感覚でした(ニンニクと違い匂いが残らないというので気のせいかもしれませんが)。飲みに行った人々は店で歓迎されなかったに違いありません>


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